泣いた赤半魔


どこの街か
わかりません。
ひとりの若い半魔がおりました。
真っ赤なコートの赤半魔。
半魔ではありましたが
いつの日かニンゲンとなかよく、そして
商売繁盛して
リッチになりたいと
願っておりました。
ある日
赤半魔は立て札をたて
広報活動をしてみました。




おいしいピザをこしらえて
かおりのよいお茶をわかし
気立てのよい赤半魔は
お客さんをまちました。

しかし「半魔」をあやしんで
誰も くることは なかったのです

すっかりしょぼくれて
すねてしまった赤半魔のところに
兄貴分の青半魔があそびにきました。
「どうしたんだい?」

かくかくしかじかと
赤半魔がわけを話すと
「そんなことなら
俺がひとつ ニンゲンをおどろかそう。
キミは俺をおさえて
ぽかぽかなぐる。
そうすればニンゲンはキミを
ほめたてる。
そうなれば安心してあそびにくるよ」
「そんなことできないよ」
「水くさいことをいうなよ。
なにかやりとげようとすれば
どこかでか 痛い思いや
損な目にあわなきゃ ならないものさ。
だいじょうぶ。
だんどりはこうだ・・・」

赤半魔はまだ思案顔でしたが
明るく言う青半魔に
つい うなずいたのでした


青半魔は街の中に
でっかい塔を建てました

人々はびびりました



赤半魔と青半魔は剣を交えました。
「こら、赤半魔くん、
そんなんじゃダメだ。
もっとはげしくやんないと。
ほら街のヒトが見ているよ」
「青半魔くん・・・」


そこで赤半魔は
愛用のリベリオンで
おもいきって
青半魔をばっさり いきました。
「はぅぅぅっ・・」
「ごっめーん!」
「い・・いいんだ、いいんだよ」



青半魔くんは
にっこりわらって
崖からおっこちました



「赤半魔はいいやつらしい」
「あそこのピザはなかなかうまいよ」
評判が評判をよんで、
デビルメイクライは行列のできるお店になり、
タウン誌にも紹介されました。

でも赤半魔は あれ以来姿をみせない青半魔が
心配でなりませんでした。


赤半魔は 青半魔を訪ねていきました。

しかしそこには手紙がひとつ
残されているだけでした。

赤半魔はだまって手紙を読みました。
二度も三度も読みました。
そして手のひらを顔におしつけ
しくしくと
なみだをながして
泣いたのでした