Pride

11 闇の迷い子 ♪あおいとりのうた




「おかあさん・・・おかあさん・・・」
幼い声が 母を呼び続けていた。

戦で焼け落ちた城跡の
死臭と白い煙のあいだに
半獣の子が泣いていた
緑色のローブの貴族が
子供を拾う。

「卑しい獣の子。
母は死んだ
おとなしくしておれば
そのまま生かしてやる。」

卑しい、醜い、穢れた、低俗・・
あらゆることばに
半獣の子は 貶(おとし)められる





ダニエルの記憶が
ダンテに流れ込む

かわりに 自分の記憶が消えていく。
幼い日々を過ごした山が
白く溶けていく。
親しい人々の顔が遠のく・・・

「やだ・・・
それは俺のものだ・・・
俺は、俺だ!」








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