Pride

13 己を取り戻せ! ♪煉獄庭園




「弐伊!」
「ダンテ、大丈夫?」
「うん」

「このひとがおまえの大切な人?」
「そうだよ。一番大切な人だ。
ダニエル、もうよそうよ。
一緒に帰ろう」
「無理だよ・・・俺は失敗した。
マスターが来る・・・」
「じゃ、俺たちがそのマスターをぶっつぶしてやるよ」
「俺はマスターに生かされてきたから、
マスターが死ねば 俺も死ぬ・・・」

弐伊が口を出した。
「なにをばかな。
それに ダニエル、
君ははじめから本気でダンテを乗っ取ろうなんて
思ってなかったんじゃないか?
張り紙に悪魔の名『オセ』の名を記して 気づかれるのを期待しただろう」
「それは・・・

マスターが言ってた。 
オセは低級悪魔の総称だって」

「君が卑しいとか生かされてるとか、
すべて偽りだ。 
うそなんだよ」
「そんな・・・」

「これはこれは、このようなところでお目にかかるとは」
その場をさえぎったのは
昨夜みた緑色のローブの人型の悪魔。

「マ・・マスター」
ダニエルの目は恐怖に揺れている





「ああ・・・貴様か・・・」





弐伊は『マスター』を見知っているようだ。
「弐伊、コイツ知ってるの?」
「ああ・・・人間に偽りを吹き込み
争いを起こさせそれを愉しむという サイッコウにやなヤツだよ。
何回か対面させてもらったがすぐに 逃げやがる。
隠れるのも うまいやつさ」
「おほめにあずかった・・・と思ってよろしいかな。
そこにおる 獣はわしの所有物ゆえ お渡しいただこう。
また お手合わせいただくこともありましょうな、弐伊殿」
「また? いいや、今日このときで最後にさせてもらおう。
キサマの顔など二度と見たくないからな」
「弐伊、俺も手伝う」
「おまえはかまうな」
「だめ。これは俺の問題でもあるから」

そのロスメンに魔力が満ち
戦いのステージが開く。
いつものように『マスター』は姿をくらまそうとするが
それを押さえたのは
ダニエルだった。
「おのれ、飼い猫の分際で!」

弐伊がダンテに声を掛けた
「コイツは基本的に弱い。両サイドから剣をお見舞いすればいい。
ダニエルを傷つけないように気をつけろ。おまえにならできるから」
「わかった」
ふたりは 右手に剣を現す。

「ダニエル 貴様・・・退けっ!退かぬか!」
「も・・・もう いいんです。
俺、ゴミのままでいい。
俺はダンテを傷つけたくない。
マスター、俺、マスターに逆らいます。
すみません。
でも
これまで育ててくれて、
ありがとう・・・」
「ではその恩返しと詫びのかわりにキサマに盾になってもらおう」

弐伊とダンテの剣の前にダニエルが盾としてかざされる。
二人はダニエルの寸前で二手に分かれ
『マスター』の両脇から貫いた。
『マスター』は黒い塵になって消えた。

***








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