Pride

9 バージルの気がかり ♪windsphere



同じ頃、街。

「やばいやばいやばい」
自分のアパートへ
バージルは急いでいた。

昨日

さんざんごねてみたがイベント後のパーティを2次会3次会と渡り歩く羽目になったバージル。
半魔の自分たちが人間と調和しながら生活するのには
こういう「つきあい」も必要だと
四にも言い聞かされていた。
しかしイベントになると
平気で未成年者に酒を飲ませるふざけた大人もいるものだ。
夜中もすぎてから解放され
フラフラの状態で四のところに転がり込み
泥のように寝てしまったのだった。

***







***

「もう昼前・・・
ダンテ・・・」
「ん・・・帰るか?」
「うん、ちょっと心配なことがあって・・・」
「そうか、なにかあったら来い。
俺はもう少し寝る。 誰かが夜中にたたき起こすから・・・」
「あ、ゴメン」

***

アパートの扉に張り紙。

「2日間の休日
弟君、お預かりします

ダニエル・オセ・セリアス」

「くっそー 人が心配して急いで戻ってきたのにこれかよっ!」

バージルは張り紙をむしりとるようにしてはがすと
また四のもとへ向かったのだ。

そこには弐伊がやってきていた。
「あれ、ハーイ。
どうしたの ふたりして」
「四のおもちゃをもってきたんだよ。
仕込みカバン」
「なにそれ」

「見た目は普通のカバンなんだけど
火炎放射器になったり
ライフルになったり
通信機になったり
ここを押すと
乗ってとべる・・・」

「・・・かっこわるい」

「なんだとっ、バージル、
俺の夢の魔法のカバンだぞ」

「バージルは正しい・・俺はこれを作りながら
情けなくなってきた。
こんなもんいらんだろ・・・って」
そういって弐伊は笑った。

「でも変身する車とか 飛ぶブルドーザーとか
かっこいいじゃないか、な、バージル。
・・つか、おまえ なんか用?」
「ダンテが友達と勝手にサーフィンに行った!」

「・・・・ぶ・・・はははは」

四と弐伊は顔を見合わせて笑った。

「いいじゃないか、
アイツにはアイツのつきあいがあるだろ?」

「そうだけどぉ、なんか むかつく!」

「誰と?」
「クラスメートのダニエル」

「ああ、知ってる、この街一番のキュートボーイな」

「張り紙だってヤツの書いたもんだし、
無理やりつれてったんだ。
ダンテは俺がいないとだめなの!」

「どれ、見せて、張り紙」

四と弐伊は張り紙を覗いて
顔を見合わせた。

「オセ?」






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