悪魔に恋した神様

§3 弐伊21歳 謁見




フランスは中南部の田園地帯に拠を置く魔族のとりまとめ役、サンドニに連れられて
弐伊は北欧の針葉樹の森にあるロッジを訪れていた。
なんでもこのあたりの神が そのころのすさんだ人間をどう扱うか相談に乗ってくれと
弐伊を指名してきたというのだ。

「いやあ、またせたね」

主の登場に弐伊は仏頂面を隠さなかった。

「お?その不機嫌な顔!さては、わし・・・じゃない、ボクの顔をおぼえてくれてるんだね?」
「忘れたいよっ!」
「うれしいねぇ。ボク キレイな人大好きだから」
「・・・どこまでも すっとぼけた野郎だぜ」
「こらこら 弐伊くん。仮にも神だから・・」
「あ、サンドニにまで『仮にも』とか いわれちゃうわけ?
うははは、ま、それもこれも わしがフレンドリーな証拠ってところかね」

弐伊はもう相手にしたくなかった・・・
しかしオーディーンの世の大局をみわたす目と行動力には
一目も二目も置かざるを得ないと 弐伊は知るのだった。





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