「蒼い月」ダンテ篇

§22 17歳の再会 音楽を流します (音楽とフラッシュ動画が流れます)


ダンテの17歳の誕生日を迎える夜。



そのときまでに
いくど つきは天を巡ったのだろう

「弐伊・・?
どうすれば・・・いい」
水晶の柩を前に ダンテは問うた。
「ふれているだけで いい」

月はさらに高くなり
兄弟の時間がひとつに重なっていく。



水晶が昇華していく。
薄く、さらに 薄くなっていく。

ふたりの視線が絡み合ってくる。



「誰だ」
「ダンテ」
「からかうな」
ダンテはそっと バージルの手をとった。

「・・・ダンテ?
どうして?」
「兄ちゃんの時間は7年 停まってたんだ。」
「おまえの・・・顔が・・」
「僕らは 双子だったって。
それがずらされちゃったから、
僕が 兄ちゃんに 追いつかなきゃいけなかったんだ」
「・・・わからない。
おまえのいってることは さっぱりだ・・
・・四、四は? どこっ!?」

「魔界だ」
弐伊が助け舟をだした。
ダンテは声が詰まってしまっている。
「あなたは?」
「こ・・・この人は 弐伊。 僕がお世話になったんだ」
「君達は ふたりでひとつの大きな使命を負ってるんだ。
こういうと 可哀相な気もするが、君たちには大きな力がある。
いま復活しようとしている冥王に対抗するのは 君達しかいない。」
「まって・・・俺、いま 混乱してる。
ちっちゃいダンテが こんなになってるし、
四は 魔界?」
「兄ちゃん!僕、 強くなったよ。兄ちゃんに追いつくよ。
一緒に やろう」
「・・・俺が ・・・
七年も寝かされてる間に、
お前が? 強くなって?
ふたりで ひとつ?」
「僕ら お互いを支えあって・・・」
「うるさいっ。
なんだよ、てめえ!
似たような顔しやがって、気味わりぃやっ」

バージルは ざっと前髪を かき上げてしまった。
「な・・・なにすんだよ。似合わねぇよっ!」
ダンテがその髪をまたおろしにかかる。



「やかましい! 俺は俺だ!」
俺は・・・・・・俺だ・・・・

・・・少し ひとりにしてくれよ。
・・・話、あとで 聞くから・・・」

「に・・・・・」

***

喜びの再会だとおもっていた。
しかし 喜びはそこにはなかった。

「弐伊・・・・・ぼ・・」
「彼にとってこの七年は一瞬だ。
混乱するのも無理はない。
もうしばらく 待ってやれ・・」
「う・・ん」

そういって 顔を被うと
ダンテは声を殺して泣いた。



**ダンテ篇 おわり





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