卒業
§6
メンテナンス リハーサル 2
〜ジルとフィルと純情ペテン師〜
 
(♪煉獄庭園) 


やがてひととおりの"授業"を終える頃。





「ジル、フィル
ありがとな、ほんと。
こんなに丁寧に教えてもらって。
助かった」
「いいよ。
あたし達も 楽しかった。
アンタといっしょに作業できて」

「オマエ・・・危ないこととか、するのか」
フィルが問いかけてきた。
「あたしは・・・ジルのおかげで夢をみることができるようになった」
「やっだ、今さらなに いうかなぁ、この子はぁ」
「だけど、ダンテ、オマエの目指してる先には
暗いものが・・・見えるんだ」
「・・・・」
「なに、フィル、あんた 霊感アリ?」
なにか 真剣なフィルをなだめようと
せいいっぱいの冗談をとばすジルだったが
本当は ジルも 気にかけていたことだった。
「ダンテ、つらかったり、泣きたくなったら
絶対 助けを呼べ。
どこにいたって、どんなときだって
なにを置いてでも 駆けつけてくれる人
いるんだろ?

あたしの ジルみたいに。」
「フィル・・・」
「マシンはいつでもみてやるから、
オマエ 自分を大切にしなよ」





フィルが見つめてくる。
フィルを見つめていたジルも
振り返り、自分を見ている。

ふたりの深いまなざしが注がれる。

「お前ら俺のこと心配してくれてる?
うれしーーー!

ああ、無理はしない。
けど、ぎりぎり精一杯 やる。

俺、お前達がちょっと羨ましいぜ。
はっきりした 夢 もってる。
俺はまだ あいまいだ。
自分自身のことだって
わかってやしない。

でも見てな、
まけねぇよっ」

「アンタ、帰ってきたら絶対 あたしたちんとこにも報告してよ!
楽しみにしてるからねっ!

じゃ、ジルちゃんとフィルちゃんの
メンテナンス講座の修了証だよ!」

ジルはそういって ちらっとフィルと目配せすると・・

***



「ありがとう
最高の修了証だ」


***

「なにを おいてでも
駆けつけてくれる」
・・・・か。

そう、きっと・・・。

だから

呼ばない。




***


(画:ナターシャ)


***



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