冷たい手

§3




(パーティの日:アパート* バージルとダンテ)

「おまえ その白いスーツ・・・だっせぇ!
結婚式みたいだ」
「ケッコン・・?」
「う・・・うん・・・」
「いつか 僕らもする? ケッコン」
「・・・さあな」

ダンテ 白いスーツを脱ぐ。
「いい!ぼくは シャツ、ベスト、コッパン、これでいい!」

バージル サラの家から借りたスーツを脱ぐ。
「俺もいいや。 いつものシャツで」
「なんで せっかく借りたのに。似合ってるよ」
「いいんだ。・・・じゃ ダンテ、俺、サラと 約束してるから」
「ああ、わかった」

(パーティ会場)

ダンテあぶれた男子の輪にいて 談笑。
女子のグループにいた パメラを見つける。
そのグループは ダンテの方を向いて ひそひそ、くすくす 笑っている。

「わっりぃなぁ、俺、ちょっといってきます!」
「がんばれぇ」

「パパパパパパ・・パメラ?
おど 踊ってくれる?」
「あ、うふ、ダンテ・・・」
「どう?」
「あ、 昨日のことね?
ごめぇん。 ママがね、半魔の子の手は
蛇のように冷たいって
だから
ちょっと 確かめたかったの。 ごめんねっ」
「あ・・・そっかぁ そうなんだっ。
で、俺の手 つめたかった?」
「ううん、あたたかかったよ。 ただの噂なのね」
「あ、そう。 噂してくれてるんだ」
「じゃ、あたし・・・ダニエルと約束してるから・・」
「そう、楽しんでね」

(半魔の子の手は蛇のように冷たい・・・か)

「ダンテ?」

ダンテ、肩をたたかれ、ふりむく。

「バージル・・・ どうしたの?サラは?」
「いや、もういいよ。・・・帰ろうか」
「うん」

(ストリート)

「にいちゃん、手つないでくれる?」
「・・・」
「うん、あたたかいや。よかった」
「何か言われたね」
「・・・」
「サラがさ、俺の耳元でなんていったと思う?
半魔の子のセックスはすごくいいってきいたわ、ってさ。
ちっ」

バージル 靴で石畳を蹴る。
カツンと音が響く。

その音を継いで ダンテ 軽くタップを踏む。
バージルタップを重ねる

薄く靄のかかる夜の通り
その静かな空間に
ふたりのタップの音だけが共鳴していた








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