続・メッツァにかかる月

§13 悠久の丘 音楽を流します

***

数日をこの穴で過ごし、ほとぼりのさめるのをまった。
ニィはときおりオーディーンが思案するのを 黙って見ていた。

そしていよいよ 旅立ちの日を迎える。
フランネルのシャツにラシャの上下。頑丈なブーツ。そしてマント。
マントは保温のほか防具にも、敷物にもなり、かかせない。
オーディーンは茶、ニィは緑を基調としていた。

「いつ用意したの?」

「カミワザ」と二人同時に言って笑った。

オーディーンは言った。
「わしはもう大神とは呼ばれぬが、持っている力は変わらぬ。
自由に 三界をめぐり、美しいアースガルドを守りたい。
協力してくれるね」
「もちろん。 俺たち パートナーだろ?」

なにもない、なだらかな丘陵。 森は 遥か後方。
「まずは・・・街へ降りよう・・・・腹が減った」
「神・・・あんたって人は・・」

空は抜けるようなブルー。空気は冷涼だ。
北の夏の偏西風がさっと 二人のマントを煽って過ぎた。






***

エルフの詩

あなたは わたしの 太陽
わたしの 凍てつく ココロに射して 溶かす

あなたは わたしの 風
わたしを 覆う 霧に吹いて 掃う

あなたは わたしの 水
わたしに そそいで 渇きを いやす

あなたは わたしの 太陽
わたしの 頬をつつんで 微笑みを 呼び戻す

大地に 歩みを 進めよう
その足跡が いつまでも よりそい 並びますように
その足跡に いつか芽が吹き 白い花を 咲かせますように






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