「蒼い月」バージル篇

§23 引き裂かれていた兄弟 音楽を流します


******

「四・・・

ははっ!おまえ、すっかりおっさんだなあ。
そうだよな、あれからどのくらいたったんだろう・・
僕は、パーツを抜かれて子供返りさ、おかしいだろ・・
・・・ごめんよ、帰るのが遅くなって・・
な・・泣くなよ。ほんとおまえって もろいよな、
そういうとこ、かわんないな。」
「兄貴、アイツに会った?弐・・」
「いや。
懐かしいねえ、どうしてんのかな。
そういえば、あの子達は知らないと言っていた。
どこふらついているのやら、だ。
腕はいいけど アイツの女好きは人一倍だからな、
どこかでネンゴロにやってんのかもね。
もう僕のことなんか、とっくの昔に忘れてるさ。
会うこともないよ」
「どうして! あの日、兄貴が消えた日・・アイツはここを出た。
ぼろぼろになって・・・
俺たちはそれから すれ違いを続けている。
近くにいるのは知っている。
それでも、会わない。
そうするようにしてきた。
だけど 兄貴には
いま誰よりも会いたいのがアイツなんじゃないのか・・」
「いいんだ!・・・いいんだ。
僕は、おまえに 再び会うことができた。
この上何を望む!?
ごめん・・アイツの事は言わないでくれ、それ以上・・
これでいいんだよ・・・
だから・・もう 言わないで。
こんな姿を、 アイツに見られたくない・・」
「兄貴・・・」
「・・なんちゃってな、僕たちには大切な役割があるんだぜ!
そっちを考えろ!」

「俺がいないあいだに ここも大変な目にあったみたいだな・・」
「おまえがでかけてすぐらしい。まるで狙いすましていたようだ。
結婚の約束してたんだってな、初と・・・
残念なことになった」
「う・・・うん。」
「向こうの状況はどうだ?」
「ひどい。悪が悪を呼んで連鎖している。 
いっしょに行ったものはやられた。」
「いまのままでは あれに のみこまれてしまうだろう。
「・・・・俺は 間に合ったのか?」
「ああ、おそらく明日。
時を元の流れにもどさなければ・・・」
「兄貴とふたりなら、できる。
ダンテには少しつらいおもいをさせるかもしれない。」
「だいじょうぶ。 あの子にはついてくれる人がいる。
そう めぐり合う運命なんだ。」
「それで、いいの?」
「あたりまえだろ、ばかだな・・ふふっ
僕がここにもどされたのは 僕の役割を果たすため・・
おまえと一緒に・・」
「俺達の役目はとりあえず 完了する?」
「うん。 そして、しばらくは 僕たちの本来のふるさとで、眠ろう」
「ふたたび 目覚めるとき・・・それがくるだろうか」
「きっと、あのふたりが、目覚めさせてくれるさ・・・
おまえにはその後の役割がちゃんと用意されているんだ、忘れるな」
「兄貴は・・・」
「ほら、バージルがまってるよ。
いってあげなよ。」






 前のページ  次のページ   バージル篇トップ   小説館トップ   総合トップ