「蒼い月」双子篇

§11 闇の穴 音楽を流します




「無道! 待たせたな」
「おかげで 少し 本気がでてきたぜ。」

「ふははは・・
おまえ達は わたしが 憎いか。
疎ましいか。
それもよかろう。
憎しみ、嫌悪は わたしには 蜜の味。
おまえ達の その 負の感情が大きければ大きいほど
わたしは 力を増すのだ」
「勝手に 強がっていろ。
貴様が どれほど ひとの心に影を落とそうとも
それに 打ち克つ魂の強さを
思い知らせてやろう。」
「そう、ひとりでは 耐え切れないことも
ふたりなら 耐えられる。
超えられる。
いや それ以上に 強くなれる」

「強がりは どちらかね?」

無道は自分の前に六芒星を出現させる。
その頂点から 魔弾が放たれた。

一弾目、 ふたりは 飛びのいて 避けた。
二弾目を ダンテは二丁の銃で バージルは幻影剣で粉砕した

「本体にちかづかなきゃ・・・
ダンテ、おまえ、銃で援護してくれ。
奴の中央に飛び込んでみる」
「わ・・わかった。にいちゃんに当んないように気をつけるよ」
バージルは ふっと笑った。

三弾目に 嵐のような連射が浴びせられる。
バージルはその場からふっと姿を消すと
次の瞬間 無道の胸の前に現れ
剣を突き立てた。

「討ち取った!」

離れた位置にある ダンテは 勝どきの声をあげた。

しかし 無道の胸から 顔を見上げたバージルは
そのとき 全身の血が逆流するのを感じていた

残忍な笑いを見せる無道。
剣を刺した無道の胸に ブーンと 低い響きをたてて
黒々とした闇の穴が開く。
あらゆるものを取り込んでいく 無限の闇の穴だ。

「おまえは わしのもの」

剣の先から闇に吸い込まれていく
そして バージルの腕が、足が、取り込まれていく。

気づいて それを阻止しようと近づいたダンテだが
強烈な無道の気に跳ね飛ばされてしまう。

「バージル!」
「ダンテ! 俺を撃って!」
「えっ、そ、そんな できない!」
「大丈夫。 その銃のもつ 魂の力を信じろ。
俺達の絆の力を信じろ。
俺は 死なない!!」

ダンテはいちど 目をとじると カッと見開き
黒と白の銃の引き金を同時に引いた。

弾丸は まさに 吸い込まれていくバージルの胸を貫いた。
2つの弾丸はバージルの体を通してひとつの光弾となり 
無道の空虚な闇に吸い込まれ

そして 爆発した。

無道はもんどりうって撥ねとび
バージルを吐き出した。

「バージル・・・」
「・・大丈夫って、・・・いったろ」
「うん・・・・ 
やっつけたんだろうか・・」
「いや、まて・・・・
そうは かんたんに行きそうにない。

俺も へんなのに 好かれちゃったな」
「僕はふられたんだ」
「この場合は喜べよ、ははっ」
「なんで にいちゃんだけ・・・
一緒だとまずいのかな。」
「一緒だとまずい・・・そうか、もういちど、同調して攻撃してみよう」
「分担して攻撃じゃなく、光の鎖作戦だね」
「そういうことだな。

見ろ!無道が・・・」

無道は怒りと屈辱と欲望が膨れ上がり
ぶよぶよと膨らみ始めていた。
そして 倍近くの巨体になって 起き上がった。








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