「蒼い月」双子篇

§1 向き合うこころ 音楽を流します CANさま画とYuht/Remair音楽によるフラッシュ動画 




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感動の瞬間だと思っていた。

しかし 7年の間 待ち焦がれたその瞬間は
余りにもしずかで 
かえって 
兄弟のあいだに 深い溝をつくってしまったようにみえる。

瞬きのあいだに 7年を失ったバージルの
青い焦りと戸惑いは
いたいほど よくわかる。
それでも 慕い続ける兄の背を追って
とぼとぼと行く ダンテも切ない

ふたりの形だけの時間は 同調した。
しかし そのときに起こるはずの
空気の揺れも気配も まったくない。

「精神の同調・・・か」

弐伊は自分の力の及ばなさを
感じていた。

「あとは ふたりの 絆の力を
信じていよう・・・

***



  


「にい・・・ちゃん・・・」
「・・・でかいのが にいちゃんとか いうなっ。
かっこわりぃ・・。
頼りなくって
泣き虫で
ちびで
いっつも 俺にまとわりついて
心配ばっか かけさせやがって
・・かわいくて
あ〜あ、
それが 瞬きしたら
こ〜んなにごつくなってるもんな。
もう びっくりだよ。」
「ご・・・ごめんね」
「なに 謝ってんだか。
おい、 手ぇ 出せよ。」
ダンテは おそるおそる 手を差し出した。
バージルがその手をとった。



「俺よりでっけぇ・・
がさがさだし・・
・・ダンテ」
「・・・・・・」



「泣くな! これから もっと大変なんだろ!?
くそぉ、おまえ 俺に追いつくって?
ぜったい 負けねぇからな!」
「うん・・にいちゃん!」
「だから にいちゃんはもうやめろって」
「うん!にいちゃん!」
ダンテは兄にとびついた
「うわっ 重いわ!

・・・あとで、もう少し
話、聞かせてくれよな」
「・・・・・うん」


ふたりのこころは すこしずつ
向き合い始めていた。








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