Pride

6 ナチュラルハイ@ ♪seaside moon : Midi畑




まだ 明けきらない朝の浜で
ダンテはサーフィンのABCを教わっていた。

「沖にでると波がやってくるのがわかる。
これと思ったやつをみつけたら板を浜にむけて腕で漕いで波の力にあわせるんだ。
それは からだに感じるから。
そしたら
上体をおこしていっきに両足で立つ。
ヨロヨロ立っちゃだめだ。
ここの波は力があるからよけいだ。
やってみな」

「・・・1、2、立て!

膝を軽く曲げて波からの力を吸収しろ。
スケボーと一緒だ。」





「うん、とにかく 海いってみようか。
俺、おまえ見ながらやってみっから。」

「そうだな、ここでぐちゃぐちゃ言ってるよりいいかもな。

ダンテ ずっと沖、波が立ってるの、わかる?」
「めっちゃ 沖なんですけど・・・」
「あそこで海底がえぐれてるんだ。
底は珊瑚だ。ひっくり返って波にまかれると怪我するかもしれないけど
おまえ 大丈夫だよな。
巻かれた時はあわてないで。海が押し上げてくれる。」
「なんだか おまえ、楽しそうだな。」
「チューブってきいたことある?
波が巻いて筒のようになるんだ。
水と光のトンネルだ。
夢見てるみたいだぜ・・・・





**

ほんとは俺、水がだめなんだ。
だめだから 飛び込んだ」
「まさか しんじゃエーっておもったりしてないだろーねぇ」
「おもった。・・」
「まじかよ。あほたれ。」
「水にもまれてると 苦しいんじゃなくて
なんかこう おおきなものに抱かれてるような気がして、
とってもハイな気分なんだ。」
「ナチュラルハイ・・・」
「そう、・・・・
俺は死ななかった。
むしろ もういちど、もういちどって
海に戻るようになった・・・

いこうか!」








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