悪魔に恋した神様

§6 梔子薫るときにA





弐伊は手ぬぐい一本をもって 志乃の湯屋へ行く途中だった。
むこうから 巨大な女がどすどすとやってくるのをみて
ため息がでた。
「弐伊さまぁ、おひさしぶりぃ」
「なんですか、オーディーン、その格好は」
「やっ、ばれた?」
「女装したって、おかしなだけですよ。
この国の女性は華奢で小さい。あんたみたいな巨大なのは妖怪か化け物ですよ」
「ひっどーい。でもいいね。ここの国の着物は美しい。風呂?
ご一緒してもいいかしらん」
「お好きに」

周囲の人々のおびえたような目を無視して弐伊はすたすたと歩いていく。
ただ、そのうしろから女装したオーディーンがピョンピョンついていくのは
なんとも滑稽な風景だった。



***









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